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伊吹山の唄


故郷の岐阜市は、この時季になると伊吹降ろしに見舞われる。
伊吹降ろしというのは、岐阜県と滋賀県の県境にある伊吹山から降り注ぐ風のことだ。日本でも有数の豪雪の伊吹山からの冷えた風は、容赦なく岐阜県南部から名古屋までの濃尾平野を襲う。
どれだけ豪雪かというと、1927年に世界山岳気象観測史上1位になる11.82mという積雪を記録している。

濃尾平野は夏が暑いと同時に、冬も寒いことで有名だが、この伊吹降ろしに起因する。
伊吹山は、日本海側と太平洋側との境界にもあり、地理的にみると、日本海側からの風と雪を一身に受け止める位置にいる。

正式には「いぶきやま」と呼ぶが、場合によっては「いぶきさん」とも呼ぶ。それは「さん」という敬称を意味合いもあるように思う。とりわけ、老人がそう呼ぶ。
それだけ地元の人には親しまれた存在の山だ。

ふもとの関ヶ原は、この影響を強く受けるために、冬は雪に悩まされる。そのために、ここを通る東海道新幹線はいつも悩まされるのだ。
しかし、東京から大阪までの新幹線の旅路の中で、雪国を楽しむことが出来るエリアでだ。
東京から名古屋を経て現れる、銀世界には心を奪われる人も多いのではないだろうか。東海道新幹線上の、唯一の日本海側の気候なのだ。

しかし、剣先のような山の形状は畏怖する。
白化粧された冬は、その形状が強調され、寒さを運ぶために、あまり良い印象を持つ人はいない。
伊吹降ろしは、僕が高校生の時、自転車通学の障害になったくらいなので、むしろ恨むくらいだ。帰宅する時にちょうど伊吹山の方向になるので、風に抵抗しながら帰るのは困難であった。
見晴らしが良い場所からは強風を受けるので、危く道路に飛び出しそうになって車にひかれそうになったことも少なくない。あの剣先のような形状は、正に僕の命を奪おうとしているかのようにも感じた。

まるで、「ロード・オブ・ザ・リング」の「滅びの山」のような形状で、サウロンのような魔王が住んでいるかのようでもあった。
古代ではヤマトタケルが伊吹山の神を倒そうとして、彼の死を要因になったとい伝説まで存在する。

しかし、僕の感性は伊吹山が作りだしたかもしれない。様々な発想の起因になり、僕は様々な唄を作った。また、夕日につつまれた伊吹山を見て、自然美を知った。

岐阜城

明けましておめでとうございます